自然氷を利用した アイスシェルター® 0℃・100%
Last Update 2005.01.20


冬期間の外気にて製氷蓄熱した冷熱源を利用して、野菜貯蔵庫等を一定温度・高湿度に保持するシステムです

 

冷凍機械は必要ナシ

冷凍機を使用しない貯水式の自然製氷なので、ランニングコストが格段に安価で機構も単純です。氷の潜熱と熱の対流を最大限に利用して、周年を通じて安定した低温・高湿度の環境が維持できます。

 

リサイクル2ウェイ

冷熱源利用方法として、雪は融けて水となり排水する一方通行(One Way)ですが、これに比べ氷は夏季に融けるが容器内で水として貯留しているので冬季が来ると、又凍結し冷熱源として蓄熱を繰り返し(Recycle Two Ways)ます。 この時の水と氷の共存状態は0℃であるため、この共存状態を周年保つ様に設計すれば、周年0℃の温度保持が可能です。

 

いつでも 0℃ 100%

水が凍っていく(寒期)のときには放熱して0℃に、融けていくとき(暖期)にも0℃で維持されます。完全に融けるか、凍るかするまでの間は、温度変動はゼロ。いつも0℃。この条件を利用するのがアイスシェルターです。


氷の凍結冷却曲線
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野菜貯蔵に最適なアイスシェルター

この『アイスシェルター』とは1988年に愛別町に"氷"利用の施設として建設した際、堂腰 純(元北海道大学農学部教授)氏が命名されたのが最初です。この時、田尻機械工業株式会社も、寒冷地に於ける"氷"利用の可能性について、堂腰 純氏と共に実験・試作等を長年繰り返しながら、最初の『アイスシェルター』の完成にいたった。最初の『アイスシェルター』完成より15年程経過しましたが、現在でも何のトラブルもなく、安定した低温・高湿度を保ちながら、野菜貯蔵庫として順調に稼動いたして居ります。


愛別アイスシェルターデーター
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補助金制度

経済産業省資源エネルギー庁は、雪や氷を農産物の低温保管や冷房などに使う『雪氷エネルギー利用システム』の施設建設に2002年度より補助金(地方自治体の事業では1/2、民間事業では1/3)の支援を実施しています。

 

雪氷エネルギー利用システム

多くの寒冷地は、冬の寒さと雪害に毎年多大の物的、経済的被害を受けています。社会生活に及ぼす雪害、凍害を克服すべく 研究が近年、各地域で数多く行われてきています。しかし『利雪・克雪』とは言い難く、多くの課題が残されたままです。

雪利用の一例として、農業に於ける主力農産物である米の低温貯蔵の実用化が、雨竜郡沼田町に実施(1996年)されました。さらに、居住環境改善のための建物冷房に、美唄市で利用(1999年)する試みも始められています。

雪利用以外に、冬季の冷気を利用して容器内に自然製氷させて蓄熱し、夏期には融解して冷熱源として繰り返し利用し、温度制御して野菜類の貯蔵に"氷”を活用している『アイスシェルター』が上川郡愛別町で稼動(1988年)しています。

これらの冷熱源利用は、燃料費がほとんどかからないうえ、二酸化炭素の排出も少ないので、地球環境エネルギー問題からも、寒冷地域産業の基礎的技術に成長させ、気象学・物理学の相互に隠された要素の特徴を見出し、北方圏の技術として更に開発してゆくことが、新しい今世紀に求められていると言えないでしょうか。

 

 

ex1 アイスシェルター (中規模型)

愛別町(1988年)にて15年が経過しましたが現在も順調に稼動しています。


設備フロー図
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  建面積  23.4m×10.8m×5.4mH
  貯蔵室  100トン(馬鈴薯換算)
  製氷量  150トン(75リットル×2,000個)
  電力量  100v 0.9kw 

  電気使用料金(過去15年) ≒110,000.円/年 

寒冷地であっても温度は低いが、雪の少ない地域があります、又降雪量は年度によりまちまちです。
『アイスシェルター』方式は、降らなくても雪の量に関係なく、どの地域でも凍結可能な温度が得られれば利用できます。

 

 

ex2 アイスシェルター (大規模型)

中国 遼寧省営口市に 2002年 完成


設備フロー図
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  貯蔵室  1,000トン(馬鈴薯換算)
  製氷量  900トン
  電力量  380v 3.7kw

建築スペースによっては貯蔵庫の地下部分に製氷室を設置する事も可能です。

 

雪(圧縮時 比重≒0.5)に比較して氷(比重≒1.0)は蓄熱量が2倍以上ですから雪氷エネルギーを利用するにはアイスシェルター方式が有利です。

 

 

ex3 アイスシェルター (空調用)

北海道大学(文系綜合研究棟)構内(札幌市)に2003年 空調用冷熱源として、製氷量450トン(36,000,000kcal)


設備フロー図
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冬期間に自然製氷した蓄熱氷を夏期の冷房・除湿用熱源としてホール等の空調用に利用されます。

 

スケールメリット

低温外気を利用して水を凍らせるために必要な容器の、形、大きさ、容器相互の間隔、によって氷のできる速度は大きく影響を受けます。容器に収容される水量は三次元ですが、貯氷室壁面は二次元で す。 例えば1m3の氷の表面は、6m2ありますが、1辺10mの立方体の容積は1,000m3であり、表面積は600m2となり、1トン当たり 0.6m2に過ぎません。貯氷量に対して壁面よりの無用な放熱量は10分の1に低減されます。ここでスケールメリットが発生し、大規模になればなるほど、熱ロスの割合が少なくなり、貯氷量の割合が少なくてもよい のです。さらに、製氷に要する電力量は各アイスシェルターの方式にもよりますが、大規模でも 0円(タダ!)で可能です。益々スケールメリット効果がでます。 多くの寒冷地は、冬の寒さと雪害に毎年多大の物的、経済的被害を受けています。社会生活に及ぼす雪害、凍害を克服すべく 研究が近年、各地域で数多く行われてきています。しかし『利雪・克雪』とは言い難く、多くの課題が残されたままといえるでしょう。

 

さあー 考えて下さい!

これまでに三例の『アイスシェルター』方式について表記しました。田尻機械工業株式会社はこの三方式共、工事の施工実績があります。

電気を使用する『冷凍機式の貯蔵庫』と自然氷『アイスシェルター』比較しますと、イニシャルコストにて建設費は機械室と貯氷室の面積の差がありますが、設備費は複雑な冷凍機設備と単純な製氷容器との差があり、安価で充分対抗できる。ランニングコストは貯蔵量1,000トンの(馬鈴薯換算)にて冷凍機電力 約80Kwの電気料金、さらにメンテナンス費、修理費、管理費も、それに対して『アイスシェルター』の場合はほとんど不要です。その上冷凍機式では出来ない、安定した一定温度、高湿度が周年得られ、冬になれば自然製氷し、来年も、再来年も、タダ゙を続けます。

電力事情の良くない中国では、すでに多棟数 建設され、野菜・果樹等の大規模貯蔵庫として『アイスシェルター』が稼動しております。

 


当社で取り組んでおります野菜等の貯蔵技術「アイスシェルター」が

2005年1月4日毎日新聞(札幌圏21面)にて紹介されました

毎日新聞2005年01月04日

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